ヴァイオリンリサイタル
会社の先輩Tさんの娘さんが始めてのヴァイオリンリサイタル
を開くということで、市の音楽ホールへ出かけた。
クラシックのコンサートなんて本当に久しぶりだ。
それも、ヴァイオリンのソロコンサート(ピアノ伴奏のみ)である。
不慣れな場所なので、会社の友人を誘った。
その友人はコンサートと名のつくものは初めて、という
あきれるような変り種?だった。
1ヶ月ほど前にTさんが会社を訪ねてきた。
今はリタイアして地域のボランティアをしていると言った。
来訪の目的は、娘さんのコンサートの誘いと吹聴の依頼
だった。彼の娘さんがドイツにヴァイオリン留学をしていると
いうことは在任中に聞いていたが、ソリストになって、
ソロコンサートを開く腕前だとは思っていなかった。
コンサートが始まった。
スリムな身体をルージュのロングドレスで包んだ姿は
美しかった。ヴァイオリンを構える姿も優雅で、堂々と
している。
彼女のプロフィールを読むと、3歳のときから楽器を始め、
29歳の現在に至るまでヴァイオリン一筋の歩みである。
演奏を聴きながら、私は数日前に見たプロゴルファー
上田桃子のことを思い出した。
幼いころから自分の夢を追いかけてひたすら練習に励み、
親は子供のために精神的、経済的な支えとなる。
言わば、親と子の2人3脚で初めて一流のゴルファーや
音楽家が誕生する。
Tさんは「まだまだ金がかかるばかりで‥」と苦笑いして
いたが、これから娘さんが親孝行をしてくれるだろう。
良い子供をもって幸せだな、と思う。