大停電の夜に
着想も悪くないし、キャストも豪華だ、でも肝心の脚本がズッコケタ。
クリスマスイブの東京の夜が闇に包まれる。すべての送電が停止。
人びとは地下鉄やエレベーターに閉じ込められる。
パニック映画のようなスタートであったが、やがて何組かの男と女の
ドラマへと変わってゆく。
不倫、過去の秘密、左遷、死期を迎える老人そして出産・・・
あわただしくさまざまなエピソードが展開される。
この監督はカッコウをつけすぎた。
静かな夜、星降るクリスマス、恋人たちの人生模様。
バックにはビルエバンスの甘いピアノ曲。
自分だけが酔っている。それぞれの人物が描けていない。
ただ、ジャズバーのマスター=トヨエツに好意を寄せるキャンドル屋
の店員=田畑智子がかわいかった。純粋で、輝いて見えた。
彼女はローソクに火を灯すときにこう言う。
「あなたにステキなことがありますように・・・」