映画「1911」
中国と香港の合作映画だそうだ。
香港人としてジャッキー・チェンが製作に関わっている。
テレビでずっと観ていた「蒼穹の昴」に続く歴史物語として、映画の公開を
楽しみにしていた。
中華民国建国のきっかけになった「辛亥革命」(1911年)から100年
目に当るのを記念して作られた映画だが、なんとも淡白な作品だった。
革命の”情熱”が伝わってこない。
ワクワクするような熱がない。
心に響くセリフがない。
感動するエピソードがない・・。
”革命の父”として知られる孫文と、その同志である軍人の黄興(ジャッキ
ー・チェン)を主役に据えている。
外国にあって革命を指導する孫文はさしずめ「精神的支柱」といったところ
か。前線で兵士を奮い立たせるのは黄興の役割だ。
そんなところにも、”情熱”を感じにくい要因があるのかもしれない。
果たして、清朝が倒れ中華民国が誕生するが、清朝軍を率いていた袁世凱が
一旦権力を得るというスッキリとしないストーリー(というか、史実)。
この”革命”を中国国民(そして中華民国国民)はどう見ているのだろう?
この映画は、”誰”をターゲットにして、どんな”思い”で作られたのだろう?
単に教科書に記述されている出来事をなぞっていった、という風に見える。
政変の中で人々が抱いたそれぞれの「思い」を見せてくれない・・・。
(蛇足)
■辛亥革命後、100年間の歩み
清朝を打倒してからの40年間は、日本との戦争に耐えた。
中華人民共和国が成った後40年間も、苦しい国家建設が続く。
文化大革命では古い伝統や文化財が破壊された。
希望が見えだしたのは鄧小平時代以降、経済開放政策を取りはじめてから。
豊富な労働力を使い、「世界の工場」になった。
そして今、ネット時代を背景にして「経済の自由化」から「政治の自由化」
を求める動きが加速する。