映画「SUPER8/スーパーエイト」
ずいぶんと欲張った内容の映画だった。
以前からずっと楽しみにしていたスピルバーグ・プロデュースの
「SUPER8/スーパーエイト」を観た。
作品の中で8ミリカメラを回し、かわいい女の子に恋をしているのは
少年時代のスピルバーグ本人だろう。
少年たちは「スタンドバイミー」のように冒険旅行をし、「グーニーズ」
のように地底を往く。町の中で怪奇現象が次々と起こり、そして「未知
との遭遇」。
凶暴な「エイリアン」と闘い、「E.T.」のように宇宙船を見送る。
盛りだくさん過ぎて、最後の30分間はさすがにザツになった。
注目すべきは映画タイトルの「スーパー8」である。
これはスピルバーグが使っていた8ミリフィルムの規格のこと。
つまり、この作品は彼の映画への憧憬=「映画愛」を描いている。
かつてフーテンの寅さんが逝ってしまった後、山田洋次監督は西田敏行
を主役にして「虹をつかむ男」を撮った。
監督の「映画愛」が爆発した作品であったが、興行的にはヒットしなか
った。監督の思い入れが強過ぎると、見る者は同化できずに「引いて」
しまう。
今回の「スーパー8」はスピルバーグが作った「ニューシネマパラダイ
ス」であり、「虹をつかむ男」なのかもしれない。