ぜいたくな寄席だった
今日の「動楽亭」は、なかなかぜいたくだった。
若手の「そうば」君を初めて聴いたが、愛嬌のある噺家で、
将来が楽しみ。
中堅の「しん吉」「米紫」は、着々と実力をつけていた。
「しん吉」はどうやら鉄道マニアのようで、”トワイライト
エキスプレス”をネタにした独創的な創作落語で受けた。
ベテラン勢が特に良かった。
「千朝」師匠は例によってゆったりとした喋り口でスタートした。
演目は「三枚起請」。徐々に盛り上げてゆく芸に関心。
「米二」師匠はひょうひょうとした芸風が持ち味。
シンプルなストーリーの「道具屋」をするりとこなして
トリにつないだ。
この日のトリを務めたのは絶好調「吉弥」だ。
噺のマクラはAKB48の総選挙のこと。
ファンの心理をくすぐってCDを売る戦略は”ビジネスモデル”
として興味深い。
世の中の大人は皆、そう思っている。
演目は「質屋蔵」だった。
質屋の蔵に出るという幽霊の正体を突き止めるために
気の弱い番頭と熊五郎が奮闘するという噺。
上方落語に頻繁に登場する「てったい(手伝い)の熊五郎」の
存在が面白い。いい加減な男だが、母屋の旦那や若旦那がそれと
なく頼りにする。男も「愛嬌」が大事、ということだ。
充実した寄席であったが、ひとつだけ興をそぐことがあった。
開演して間もなく客のひとりが寝入って、イビキをかき始めた。
演者も他の客も、気になってしかたがない。
堪らずに3番手の米紫がそれとなくたしなめた。
愛嬌のある米紫君だからそれが出来たのだろう。感心した。
それにしても、(以前から指摘されているように)背が高く、
柔らかい座イスはすぐに睡魔を呼ぶ。
堅い木の座イスに換えればどうでしょう?