KANDINSKYの「インプレッション」
若い頃はメルヘンチックなシャガールの絵が好きだったが、
歳を重ねると、マチスやクレーのファンになった。
私のマンションの自室の壁には「パウル・クレー」の点描画の
ような絵があり、リビングには10年来「カンディンスキー」
の黄色い抽象画が飾られている。
神戸の美術館で「カンディンスキーと青騎士展」という展覧会
が開かれていたので、覗いてみた。
彼の生涯に亘っての作品が展示してあるのかと思ったが、
1910年前後 彼が抽象アートの扉を開けようともがいていた
時期の作品だけを集めた展示だった。
私は1枚の絵の前で釘ずけになった。
タイトルは「インプレッション3(コンサート)」。
シェーンベルグのコンサートを聴きに行った彼は大いなる感銘を
受けてこの作品を一気に描きあげた。
上部にグランドピアノがあり、多くの聴衆が聴き入っている。
黄色はカンディンスキーの熱い魂を表わしているのか。
絵を見ながら、じんわりと目頭が熱くなった。
感動がアートを生む。そして、そのアートがまた見る者に感動を
与える。
彼は「抽象画の父」と呼ばれているらしい。
具象からスタートした絵画を様々な表現で成長させ、やがて抽象に
至る。それが芸術家の一生である。
たどりついた時点でその生命が尽きる。嗚呼。