チェンジリング
C.イーストウッド監督の最新作「チェンジリング」。
かつて評判になった「ミリオンダラー・ベイビー」と同様に、
なんともヘビーで悲惨な映画だった。
上映時間は142分もある。
(せめて、2時間以内にまとめてほしい)
「権力による不正(理不尽)に立ち向かう市民」そして
「圧倒的な母性の強さ」
私は他の作品と重ね合わせながら観ていた。
ひとつは「L.A.コンフィデンシャル」だ。
1920年代の腐敗したロス市警と暗黒組織をサスペンス
タッチで描いた秀作だった。
「チェンジリング」が女性の涙をしぼる映画なら、
「L.A.コンフィデンシャル」は男の胸を打つ映画と言える。
ラッセル・クロウの哀愁にしびれた。
そしてもうひとつの映画は「それでもボクはやってない」。
痴漢の冤罪事件を克明に追う中で、”権力が牙をむいた
ときの恐ろしさと市民の無力感”を描いた。
チェンジリングはわずか80年前に米国で起こった実話
である。腐敗した政治と警察組織。そして彼らに媚びへつらう
医師やその他もろもろの人間たち。
それを、映画館で糾弾するのは簡単だが、それが”言えない”
時代がかつてあり、そしてこれからもないとはいえない。
人間は弱いものだから・・。