父を見舞う
血液透析治療が避けられないということで、数日前にその準備の(シャントという血液の取り出し口を作る)手術が行われた。
日曜日は母が通院できないので、私が見舞いに行くことにした。
ベッドに横たわった父は白い無精ひげをそのままにして、やつれて見えた。
食事がおいしくないといってほとんど食べていないらしい。だから肌に艶がない。
私は細くなった父の腕をさすってあげた。
父はずっと眠れなかったが、クスリをもらって昨夜はぐっすりと眠れたと言ってうれしそうな顔をした。
母からことずかった太い字が書けるペンと白いノートを見せると、父はとても喜んでくれた。
耳が遠くなったので、看護士さんと筆談のような方法でコミュニケーションをとっているらしい。
父はノートに今日の日付けと曜日を書いた。
「家内は土曜と日曜は来れないから・・・」 「明日はくる」
父は母が来ることが唯一の喜びなのだ。とてもいじらしく見えた。
その母も思うように歩けないから、週3回ヘルパーさんに来てもらって、その女性の車で父を見舞っている。
これから始まる人工透析のことを考えると、憂鬱になる。
長生きするということは過酷なことだ。