夜と朝のあいだに
親父の3回忌に兄貴と久しぶりに会った。
元気な兄もさすがに高齢なので仕事は控え、ゴルフ三昧の生活に
移ったらしい。
驚いたことが二つ。
一つは、ゴルフのハンディキャップが「6」になった、ということ。
週に2回コースを回っているんだから、うまくて当然だと思うが、
年齢が年齢だけに立派というしかない。
コースに出ない日はどうしてるの? と訊くと、ユーチューブで
米国流のゴルフレッスンを見て、ヒントをつかんだらすぐに
練習場に行って試すとのこと。
昔から近所の伝説になるほど練習熱心な兄だった。
なにごとも「スキが大切!」を改めて見た気がした。
もうひとつは、地上波のテレビは見なくなったとのこと。
私の悩みは「あげ足取りばかりの新聞と、知能程度の低い民放
テレビだ」と云ったら、兄はCS専門チャンネルしか見ていないと
言った。
彼は商社や出版社に勤め、テレビ局や広告代理店と付き合って
いたので実情を知っているだけあって、業界への批判は私以上に
シンラツだった。
テレビを見て嘆く私は、まだまだ「ミレン」があるのだ。
見なくなって初めて「平穏な生活」が送れるのかもしれない。
早朝に目を覚まして窓から外をのぞくと、東の空に朝焼けが見えた。
「夜と朝のあいだにひとりの私」
亡くなった父のこと、足腰が弱くなった母のこと、ゴルフ好きの兄
のこと、そして成熟し、疲れが目立ってきた”日本”のことなどを
しばらく考えた‥‥。