どじょうと金魚
ちょっと地味で泥くさいが、実直で気配りができそうな
「野田どじょう内閣」がスタートした。
民主党代表選での野田氏の演説を聞いて、分かりやすく喋る
人だな、との印象を受けた。
「政治というのは坂道で、重い雪だるまを下から転がして
いくようなもの」
「自分は泥くさいどじょうだから、金魚にはなれないけれど
全身全霊を傾けて政治を前進させる」
比喩が巧みな人である。
長い間の街頭演説で、歩行者を立ち止まらせる「話す技術」
「説得する心得」を磨いてきたことが読みとれた。
民主党代表になったとき、こう言った。
「ノーサイドにしましょう。もう。」
今回の組閣で、いわゆる重量級の閣僚が少ないことに懸念の
声が聞かれるが、却って良い結果が出るかもしれない。
俺が、俺がというスタンドプレー好きな人より、真面目に
周囲の意見を聞きながら仕事を進める方が良い。
団塊世代の論客、内田樹先生はこう言ったものだ。
『日本の政治過程は成熟期にあり、誰が総理大臣になっても、
それほど違いが出ないようにシステムが作り込まれている。』
かなりアイロニーに満ちた意見であるが、政治や社会が成熟
すると、国民は熱くならない。冷めている。
だから、批判ばかりして自分では行動しない政治家やマスコミ
がはびこる。
「どじょう内閣」は若い。
本格的な世代交代が実現するように、がむしゃらに熱くなって
重い雪だるまを峠の上まで持ち上げてほしい。
きっとそこには”うろこ雲”が金魚色に輝いているだろう。